2014年 10月 04日

実家にて(2)


夜もそこそこ更けてから、二階の姉の部屋でようやく布団を敷いたときには
自分の身体がまるで鉛みたいに重たく感じられた。
シーツを付けることすら億劫になり、
敷布団に大の字になって今日一日のことを思い返す。

病院を出たときは既に外来が閉まっていたので支払いもしていないから、
明日また会計窓口に行って、、、とかあれこれと考え始めると
なかなか寝付けそうにもなかった。
かなり、疲れていたはずなのだけれど、頭だけが妙に冴えている。

姉が帰省している時にこの部屋で使っているらしい小型のテレビを、
こんな時間に点けたら隣室で休んでいる父が起きてしまうだろうか。
母の状態が急変しないとも限らないので、
とりあえず何かあったらすぐに行動を起こせるように、
部屋の電気は消さないでおくことにしよう。

などなど、などなど、考えながらも
「いい加減眠らないとなぁ。明日も色々忙しくなるだろうから」と、
右を下に横向きになって目を瞑る。


うつらうつら、していたのであろうか。
していなかったのかもしれないし。

「ガサガサ」という音が、目の前でしている。
自分の目の、まさに目の前に置いていた、
ダイエーで数日前に買い物の際、3円だったか5円だったかで
レジで買い求めたビニルの袋が動いている。

「じ、じ、地震だっ!」
布団から、飛び起きた。

袋の、この動き方からして、震度3くらいだろうか。
ヤバいぞ...かなり、ヤバいぞ...
家に残してきたインコ達のパニック状態が頭をよぎる。
腕時計をとっさに見る。1時57分。
深夜のこの時間帯の地震は、間違いなくうちのインコ達は大パニックだ。
流血の怪我にならなければいいのだが...。

しかし直後、その、袋の動きの不自然さに目が釘付けになる。
なんということだろう。

袋、が、「それだけ、が」、動いているのだ。

姉の部屋の、天井からつるされているカモメのモビールも、
壁際のドライフラワーも、窓のブラインドも、
何一つ、揺れてはいないのだった。

ダイエーのビニル袋に入れてあるのは、
(今日実家に泊まることになったら)、と思い、
朝、バタバタと準備しながら無造作に突っ込んできた洗顔&化粧セットだ。
この部屋に荷物を置いてから洗顔したから、
フェイスタオルと洗顔クリームは取り出していて
中にあるのは基礎化粧品やファンデーションの類いだ。
袋の持ち手は結ばずに、さっきタオルを取り出してからそのまま。
その袋が、まるで人の手で中身をまさぐっているかのごとく動いている。

...寝ぼけている? 金縛り?
いや、私は確かに起きていた。


「まぢかよ~」
「なんでさー」
「ありえないっしょー」

恐怖と驚きと信じられなさとが入り混じった状態で
見たくはないが見ずにはいられないという感じか
とにかく、動いているその袋を、ガン見するしかもはや術がなかった。


それから私は、
たった今、この目で見たありえない現象を
何とか否定できないものかと
ビニルの袋が音を立てる理由をつくり出すべく
横のバッグを傾げてみたり
ビニルをぎゅーぎゅーに絞り上げてみたり
色々と試してみたのだ。

...が、残念ながら、今しがた目にしたような不自然な動きを
袋はしてくれはせず。


「怖いっしょや...」
何が悲しくて、深夜2時
私は動くビニル袋と
ひとりで対峙しなくてはならないのだ...

とにかく、だ。
もう一度、あの動きを見るなんてことは
とてもじゃないけど耐えられないよな。
...と、思い。
ビニルの中身を全部床に移し、
袋はきっちりと折り、割り箸袋のごとくたたんで縛った。

さぁ、これだけしっかりと結んだ袋よ。
動くなら動いてみろ...飛ぶなら飛んでみろ...
と、闘いを挑むかのごとく心で話しかけて
再び布団に横になったのだが


おっかないわー、やっぱり。
えーーーん。(T_T)


深夜の住宅地、音は何一つ聞こえてこない。
ぼーそー族のにーちゃんすら、南郷通を走ってくれもせず。

私の身体はもはや、全身が「耳状態」であった。


う~む。
時は10月。朝の日の出もすっかり遅くなってしまったし
まだまだ夜明けまでは長いなぁ。

仕方がないのでノートパソコンでYouTubeを表示させ
「さて、何を流しておこうかなぁ...」
この状況下にふさわしい曲って、一体なんだべなー
そんなことを考えると意外とひらめきも起こらないもので
理由はないが「笠井紀美子」と検索して、
懐かしいLPの曲をごくごく微量のボリュームで流すことにした。



4時55分に。
外はまだ全然明るくはなっていなかったが
カラスの第一声がどこからともなく響いてきたときには
心の底の底の底から、ホッとした。

少し、眠ろうか。眠れるかナ。

お腹に薄手の掛布団をぐるぐる巻きにして抱きかかえ、
座ったままで目を閉じてみた。


袋のあの動きは一体、何だったのだろう。
母のこと、父のこと、仏前で四人の祖父母に頼み込みすぎて
「調子に乗るな、こんなときばかり」と
じーちゃんばーちゃんに叱られたのだろうか私。
いやそれとも。
「大丈夫だから、安心しなさい」と言われていたのだろうか。

もしかしたら、あの世からのものではなく
千葉の姉の「思い」が、
姉の部屋で過ごす私(妹)に
このような形となってあらわれたのだろうか。


いずれにせよ、考えてみたところでわかるはずもない。
「実はさ、あれはね」と
わかったら、聞こえてきたら、
それはそれでもっとコワ過ぎる。

いや、コワいことでは決してなくて。
念のちから、時空を超える家族の思い
それらは「在って当たり前」
そう、思えばまったく不思議ではない。

...のだが。


コワいと思わなくなれるまでには
自分の道のりはまだまだ遠い。
果てしなく遠い。

そんな気が、するのである。



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by Okamekikurin | 2014-10-04 23:55 | ツブヤキ | Comments(8)
Commented by daisuke-davidson at 2014-10-05 16:00
虹はきれいだけど、話は怖いですよ~
Commented by D・T at 2014-10-05 16:57 x
そーゆー時に流すYouTubeは稲川順二w
僕は何故か笑ってしまいますwww
Commented by こたつ猫 at 2014-10-05 22:00 x
それは何かの虫の知らせなのでは・・・・・・・
Commented by Okamekikurin at 2014-10-05 22:51
★daisuke-davidsonさん★
通り雨の後は、ついつい空を見上げてしまいます。
虹に出会える確率が極めて高いので(笑)
昨日は二重の虹を撮っていたお方も多かったですね~。
晴れの日の青空も爽快だけれど、秋の気まぐれな空も翻弄されながら楽しませてもらってます(~_~;)

秋の夜長の、不思議ばなし。
その場ではコワかったはずが、書いているとその時の自分が何だか滑稽に思えてしまったワ (^_^;)

Commented by Okamekikurin at 2014-10-05 22:52
★D・Tさん★
コワい時ってコワ過ぎると逆に笑うしかなくなったりしますね。
稲川さんのは、どっちなのかなぁ。
コワ過ぎる??
コワ笑い話???

この間、赤平の立坑ライトアップを撮るのにひとりでズリ山を登った時もコワかったなぁ...
って、熊さんがコワいのはまた別の話か(笑)

Commented by Okamekikurin at 2014-10-05 22:53
★こたつ猫さん★
色んな意味で、キョーレツな1日だったもので、何が起こっても不思議じゃない...そんな日ではありました。

あの世とこの世の境目が、いつもより曖昧になる。
そういうことって、案外少なくないのかもなぁ...そんなことも、感じた日でした。
とにもかくにも、今こうしてひとまず落ち着いてPCに迎えるのは有難いことです。

Commented by 乱子 at 2014-10-07 00:00 x
私は見たわけじゃないけれど、夜中にトイレに入っていたら閉めたドアの向こうからビニール袋をシャカシャカ言わせながら行き来されました。
やはりトイレに起きた夫が早く出ろと催促してふざけているものとばかり思っていたけれど、本人は寝室でぐっすり。
そのあとは眠れなくなりました。
Commented by Okamekikurin at 2014-10-07 05:40
★乱子ちゃん★
それはね、おそらく乱子ちゃんが作られたマトちゃん達に魂が吹き込まれて、ヒトが寝静まった時間になると実はいつでもおうちの中で色んな遊びをしているのかもしれないよぉー。

目で見える恐怖よりも、実は「音」や「気配」、そういったものの方がコワいんじゃないかって気がします(>_<)

しかし、恐怖と闘う乱子ちゃんを妄想すると笑いがこみ上げてしまうのは何故だ???(ゆるしておくれーw)



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