ぜんまい仕掛け

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2015年 12月 07日

財布がない(その2)


(※「財布がない」(その1)は →→コチラ←←です※)

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東室蘭に着いたら、とにもかくにもスタバに電話をしよう。

そう、決めて。スマホでスタバの電話番号を検索した。

サツエキ直結のスタバ、自分の知る範囲で三か所か...
店の位置はわかるのだが、アピアだのパセオだのJRタワーだの
それやこれやのショッピングモールが、動転した頭の中で
ごっちゃごちゃになっている。

さっき居たあそこのスタバは、どこのスタバだっけ??
いかんいかん、こんな状態じゃ、さらなるアクシデントに見舞われかねない。
「ひとつひとつ」を、順番に落ち着いて、進めよう。進めなくては。



スタバの電話番号が載ったWebページをブックマークに登録する。


(しかし待てよ、本当にホントに、財布を置き忘れたのはスタバなのか?)
心の横っちょから、別な自分の声が聞こえる。
途端に、薄っぺらな確信はヘナヘナと失せ始める。


(改札を通ってから入ったトイレで、もしや財布を出したのでは???)

可能性は、ゼロではなかった。

用を足して手を洗って、鏡に映る自分を見た瞬間、
「ひぇ~、髪の毛乱れまくってるし~」と、慌てて髪をとかしたのだ。
ヘアブラシの入ったポーチをバッグから取り出す際に、
もしかしたら財布を先に出してバッグの横に置いてそのまま...

体内の血液が、ザザザザと音を立てて引くような感覚を覚えた。


あのトイレで、個室の空き待ち行列、私の前後はインバウンドの方達だった。
自分の前の女性は、手にペーパーカップの珈琲を持ち
なんとその珈琲を飲みながらトイレの個室に入って行ったのだ。
それが彼女たちのお国では何ら不思議ではない行動・習慣であろうとも
ここで目の前で見るには違和感がありすぎるものだ。

さっき買い物をした大丸の地下でも、そうだった。
スイーツショップと中華総菜テナントの間の通路をふさぐ形で
親子らしき4人組が、買ったばかりと思われるサンドイッチと餃子を広げて
大声で話しながら豪快に立ち食いしていたのだ。


そんなシーンを、この状況で思い出したくはなかった...

あの人たちが、財布を見つけたとしたら...

駅の窓口だとか鉄道交番だとか、そういった場所に
届けてくれる可能性なんて、たぶん限りなくゼロだよな...



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いずれにしても、結果は二つのうちのどちらかでしかないのだ。

悪い結果だった場合の、これからの手順を考えておかねばなるまい。

先ずは、カード会社への連絡...
キャッシュカード分の、銀行への連絡...

朝、札幌駅に到着した時にATMで降ろした現金のことよりも
各機関への連絡の方が、はるかに自分の気持ちをゲンナリさせるものだった。



ワオンにチャージしている残額
セブンイレブンの なんとかカードの残額
地下鉄やバスで使う なんとかカードの残額

病院の診察券は何枚だったかなぁ
健康保険証も入っているし
JRの悠遊倶楽部会員証は顔写真つきだよなぁ

カラオケ屋さんの会員証も
この間作ったばかりのジーンズショップのポイントカードも
珈琲豆のスタンプカードも
小鳥のクリニックの診察券も
ぜぇ~んぶ、なくなっちゃうのかぁ...



そういえば家に現金あったっけ?
財布がないということは、キャッシュカードもなければ、
クレジットカードもない。
ツタヤのカードすらないんだ。


ホント、財布の中にあれもこれも入れておくもんじゃないよなぁ。
最悪、財布が戻らなかったとして、これを今後の教訓にしないとね。

しかし最も悲しくショックなのは、中身や手続きのことではない。
その財布が、姉からプレゼントしてもらった大切な物であるという
心がしくしくと痛むのは、実はそこなのだった。




...そんなこんなを考えながら、約1時間半ののち、
ヨレヨレになって私は列車から降りた。


家までの徒歩15分は、もう待てなかった。
改札を出て、駅通路の隅でバッグを下ろす。

さっきスマホで登録したスタバの電話番号のページを開く。

ドクンドクン、が、再び全身を襲う。

「これで、決まるのだな。」



スマホから聞こえてくる、元気の良いスタバの女性スタッフさんの声。

意を決して、腹をくくって、言葉を絞り出す。

「あのぅ...先ほど、そちらに伺った者なのですが...
かくかくしかじか...」


「あ、お財布、ありましたよ~。ご安心ください!」


「えっ!?ホントですか??? 財布、あったんですか???」


「ビックリしますよねぇ、お財布なくしてしまうと...」
たぶんそんな感じのことを、スタッフさんがおっしゃってくれていた。

ただただ、有難くて嬉しくて、不覚にも涙があふれてしまった。


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スタッフさんのお話によると、財布はお客さんが届けたのではなく
スタバのスタッフさんのお一人が見つけてくれたとのことだった。

スタッフさん曰く「すぐに知らせたかったのだが、個人情報の関係もあり、
決まりとして落とし物は「防災センター」に届けることになっている。
防災センターの電話番号を伝えるので、そちらに連絡をして引き取りに行ってほしい」
とても丁寧に、そういう説明をしてくださった。



何度もお礼を言って、電話を切る。


財布が、あった。
財布が、あったのだ!


札幌まで取りに行かなきゃならないけれど、
財布が戻らないショックと各種手続きに伴う気の重さを思えば
交通費も費やす時間も、何ら苦になるものではない。



そんなわけで翌日、再びサツエキへと向かった。

防災センターの担当の方から電話で聞いていたとおり、
まずはショッピングモールのインフォメーションセンターへ向かい
受付の女性に事情を話す。

(すっごい美人だなぁ...受付の人。)

「わたくし、〇〇と申しますが、お客様のお名前を...」
そうか、先ずは自分から名乗るものなのだなぁ...
マニュアルとはいえ、素直に感心してしまった。


私の話に笑顔で頷いて手際よく防災センターに電話をかける
その適度に緊張感を保った口角と、受話器を持つ手の指先の揃え方
無駄のない立ち居振る舞いに見惚れながら
「彼氏はいるのかなぁ」なんて
しょうもないことをふと考えてしまった。



「ご案内いたしますので」
完璧な笑顔で受付の椅子から立ち上がり、
すっごい美人の受付嬢が、私の前をゆっくりと進む。

エスカレータを降り、果たして防災センター入口は
一番奥の、端っこのほうにあった。

(なるほど、これはわかりづらい場所だわ...)
そうは感じたが、案内していただける幸せは想定外のものだった。


落とし物の窓口で、財布を受け取り、
「一応、中身の確認をお願いします」と促されるまま
財布を開けたものの、何をどう確認もなにも、
「有った」だけで「届けてもらえた」だけで
もう何も言うことなどありませんよ。ええ。



すっごい美人の受付嬢は、無事に財布を受け取った
トホホなオバサンをホホエミながら見守ってくれたあと
とてもスマートに別方向からホームポジションへと戻っていかれた。
そのお姿は、まぎれもないプロフェッショナルそのものだった。



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それから私は、スタバに向かった。
昨日の、スタバに向かった。
持参したお菓子を2箱、本音はそれっぽっちじゃ気がすまないけれど
とにかく感謝を伝えたい。

ただひたすらに、心の底からそう思っていた。



ちっぽけな一個人の
ちっぽけな、一アクシデント。

でも、学ぶことは大きい。気づくことは多々だ。
失敗して初めてわかることも、ある。



ほんの些細な、しかし忘れられないであろう
2015年、師走初日のエピソード。



(※画像の撮影日・場所は 本文とは関係ありません。)







by Okamekikurin | 2015-12-07 00:30 | ツブヤキ | Comments(8)
Commented by N@北方支部 at 2015-12-07 09:50 x
お財布無事で良かったですね~^^
あの「え~、どこかに忘れた~?」のドキドキはたまりませんね...

あっ、ご無沙汰してました。
僕はおくさんと出かける時以外は、正規軍の財布を持って行きません。
と言うより「一人の時は持ってっちゃダメ」と言われております。
なので、マジックテープをパリパリいわせながら開閉する、今時の中学生すら持ってなさそうなやつを使ってます。
それすら、時々どこへ行ったか分からなくなってドキドキさせてもらってます。
でもお安いお財布は何故か必ず出てきます、ポケットのどこかから。
Commented by kei at 2015-12-07 12:14 x
良かった~~!(^_^)/

お財布なくすとほんと、色々と面倒ですよね
免許証だって再交付しなきゃならないし
あれこれあれこれあれこれあれこれ、、やらなきゃならないこと
いっぱい。

実は私も・・
去年、BARUが緊急入院して、仕掛けていた仕事を片付けるのに
あちこちへ行く用事があり、こっちでお金を払い
こっちに車を届けて、、タクシーで帰ってきて
などとやって、さてこれで今日はお終いでBARUの病院へ行こうと思ったら
お財布がない!ええーー!と焦りました。

お財布を出した所、2社へ電話するもない。
どうしよう~~と真っ青。
最後に届けた車の中か?とそこへ行き聞いてみると
その車に乗って何かをやっていた男性が、これ?と
私の財布を見せた・・あーーーーー、良かったぁと心底ほっとしました。

バックを開けた時にするっと落ちたようで
何か落ちた感覚はあったので見たのだけれど
暗くて見えず。気のせいだろうと思ってしまった。。

あって、ほんと良かったです。
そんな経験済みだったので、KIKUさんの昨日の日記を読んで
必ず見つかりますように!と祈ってました。(^_^)/
Commented by こたつ猫 at 2015-12-07 21:30 x
いや~~~
無事に財布が戻って、良かったです(;Δ;)
感動の巨編、ついに完結ですね。

私も気をつけよう・・・・
Commented by Okamekikurin at 2015-12-07 23:20
★N@北方支部さん★
ご無沙汰しておりますっ!!!(*´▽`*)
おかげさまで、デパ地下で買ったお惣菜のレシートも含めてすべて「そのまんま」で戻ってきました。
ホント、財布を持ってないことに気付いたときの動悸息切れ不整脈(笑)
究極のM的プレイかもしれません(;^ω^)

ところで、11月中に夕張リゾートに予約の電話入れましたヨ(早やっ!)
もちろん今年も「最初からキャンセル待ち」ですが、これでホテル取れなかったら猫屋敷に寝袋持参だワ♪
Commented by Okamekikurin at 2015-12-07 23:22
★keiさん★
有難うございます~。
ホント、あの独特の凹み、不安、二度は味わいたくないですねぇ。
防災センターに入る際に、免許証などの顔写真付きの証明できるもの持参して...と言われて
「ああ、免許証だけは別に持っていたのだ」とそれだけは救いでした。

最近はスマホにありとあらゆるデータを入れている方も少なくないだろうから、
お財布と同じくらいに、スマホを紛失するとパニックになる方もいらっしゃるのでは...

ちなみにお財布を紛失したのは人生で3度目でありました( ;∀;)
2度目の時は二十代の前半で、琴似のパチンコ屋さんで掏られました。
警察に届けたときに、「パチンコ屋さんで」と正直に言えなかった...若かったンですね(笑)
Commented by Okamekikurin at 2015-12-07 23:23
★こたつ猫さん★
読んでいただき、有難うございます<m(__)m>
「置き忘れた財布が、見つかったんです~」の1行でも済む話なのに
こんなに引っ張っちゃいました(^-^;

いや、本当に、財布がなくなると大変な思いをします。
どうぞくれぐれもお気をつけて...

あ。次に長いブログ書くときは、きっとエロ話ですwww
Commented by sada at 2015-12-08 06:23 x
良かった~~、本当に良かったですね(*^^*)
Commented by Okamekikurin at 2015-12-08 20:28
★sadaさん★
有難うございます~~(*´▽`*)

列車の中では落ち込みや不安、恐怖感、いろんな思いが竜巻みたいに押し寄せましたヨ(>_<)
幸い、今回は無事に戻りましたが、本当にこれを教訓にせねばなぁとしみじみ感じております!



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